「ひきこもり」だったわたしに、両親がしてくれたこと【沼田和也】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「ひきこもり」だったわたしに、両親がしてくれたこと【沼田和也】

『牧師、閉鎖病棟に入る。』著者・小さな教会の牧師の知恵

 

 その後、わたしはカウンセリングに通い、そのなかで調子を少しずつ取り戻し、自分にやれそうで、さしあたり負担も少なそうな道を見いだすことができた。それが関西学院大学神学部受験という選択肢だったのである。

 

 何事にも時があり 天の下の出来事にはすべて定められた時がある。

 生まれる時、死ぬ時

 植える時、植えたものを抜く時

 殺す時、癒す時

 破壊する時、建てる時

 泣く時、笑う時

 嘆く時、踊る時

 石を放つ時、石を集める時

 抱擁の時、抱擁を遠ざける時

 求める時、失う時

 保つ時、放つ時

 裂く時、縫う時

 黙する時、語る時

 愛する時、憎む時

 戦いの時、平和の時。

 人が労苦してみたところで何になろう。 ‘

 

 (コヘレトの言葉 3:1-9 新共同訳)

 

 わたしは10代の終わりと20代の前半の、二度にわたってひきこもりを経験した。しかし当時を振り返って気づいたことがある。それは、母からも父からも「あんた、これからどうするの」と急かされたことが、一度もなかったということである。我が家は決して裕福ではなかった。父は高卒のサラリーマンであり、母も夏は暑く冬は寒い倉庫でパートをしていた。わたしをいつまでも家にひきこもらせておく余裕などなかったはずである。しかし母も父も、わたしが話しかければ率直に答えてくれたし、わたしが一人になりたいなら放っておいてくれた。「もうちょっと勉強したら」と小言を言うことはあったが、決してしつこく繰り返さなかった。

 これを「あなたは甘やかされたのだ」とみる向きもあろう。だが、わたしはこう考えている。すなわち、わたしの両親は、わたしを待っていてくれたのだと。

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沼田和也

ぬまた かずや

牧師・著述家

日本基督教団 牧師。1972年、兵庫県神戸市生まれ。高校を中退、引きこもる。その後、大検を経て受験浪人中、1995年、灘区にて阪神淡路大震災に遭遇。かろうじて入った大学も中退、再び引きこもるなどの紆余曲折を経た1998年、関西学院大学神学部に入学。2004年、同大学院神学研究科博士課程前期課程修了。そして伝道者の道へ。しかし2015年の初夏、職場でトラブルを起こし、精神科病院の閉鎖病棟に入院する。現在は東京都の小さな教会で再び牧師をしている。ツイッターは@numatakazuya)

 

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  • 沼田 和也
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